残業は誰のため?
ホワイトカラーエグゼンプションと残業代割増率の関係で、いろいろな人が残業について発言しているが、気になる発言がいくつかあった。
1月18日(木)の日経新聞によると、
厚生労働省の辻哲夫次官は18日の記者会見で、一定条件を満たす労働者の労働時間規制を緩める「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション(適用除外)」について、「残業代の割増率の引き上げとパッケージでとらえるのが筋だ」と指摘。通常国会への提出を目指す労働基準法改正案に、一方だけの制度改正を盛り込む考えがないことを強調した。
とのことだ。
労働政策審議会で両方を議論しているから、ということが理由のようだが、「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」は、残業代を減らすための法案ではない、と言っているのだから、セットである必然性はないはずだ。
逆にいえば、やはりホワイトカラーエグゼンプションは、残業代を減らすことが大きな目的の一つだから、残業代の割増率の引き上げとセットでしか考えられないということなのだろう。 衣の下から鎧が見えている。
また、経営者団体系の人が何人か言っているのが、「残業代の割増率をあげると、残業が増える」というもの。
これも、おかしな話で、残業は、経営者が労働者に「残業命令」をするから残業できるのであって、残業を増やしたくなければ、きちんと従業員をマネジメントして、所要時間内に仕事を終わらせるのが筋だ。
さぼっている、あるいは能力不足で残業していると思うのなら、人事考課できちんと対応すべきでしょう。
家に帰りたくなくて残業している人や、忙がしたがり病で、必要のない仕事をやって残業している人がいることも事実ですが、それは経営者の問題であるわけです。
あと、この手の問題発言を以前から繰り返しているらしいのが、人材派遣会社ザ・アールの奥谷禮子社長。
「過労死は自己管理の問題」と言い切っているようだ。(週刊東洋経済2007年1月13日号 )
これが、ただの会社の社長さんなら、その会社だけの問題だが、経済同友会から、使用者側代表として、厚生労働省の労働政策審議会の雇用条件分科会の委員となっているので、全国の経営者・労働者に影響を与えることになる。
2006年10月24日の分科会の議事録を見ると、この方は、自分の目に入ることにしか真実がないタイプ、ある意味、想像力が欠如している(+論理性が欠如している)人なのかなと感じた。
例えば、労働相談(トラブル)の件数で、期間の定めのない契約から有期契約への切り替えについてのものが多いことを指摘したうえで、なぜ経営側は有期に切り替えなければならないのか、と聞かれたのに対し、
「働いている側から自分の都合で急に留学をしたい、育児休業に専念したい、そういう形で契約社員的なほうが自分の働き方、ライフスタイルに合うという希望があって、そういう雇用形態にするということがあって、一方的にこちら側から契約になれということは少ないと思います。ですからむしろ働く側が、自分のライフスタイルに合わせて、契約的な仕事のほうが責任という部分も含めて軽くなるという意識があっての申し入れが多いのだと思います。」と答えている。(^^;
また、下に議事録から少々長い引用をするが、おもしろいやり取りがある。
深夜勤務手当を支給しないように変更することについて、労働側委員が異議を唱えたのに対して、奥谷委員が反論した部分だが、現に過労死している中間管理職や管理職が少なくないこと言われると、それは自己管理の問題だと言い出し、会社から仕事をどんどん与えるのだと言っても、それを断るのが自己管理だと言い、最後には、労働者が会社に過剰な仕事を断れないのは、組合が労働者を甘やかしているせいだと言い出している。
自分の見ている範囲でしか判断できずに不用意な発言をしているうえに、論破されると最後は根拠も何もない、単なる非難をしてしまう。もし、本音で思っていたとしても、言ってはいけないことだ。これを公の場で発言してしまうというのは、自分の言っていることの問題を理解していないためではないかと思われる。
また、それ以前に、自分が参加している会議の趣旨を分かっていないように思えてしまう。周囲に、きちんと諫言してくれる人がいないのか、言っても聞かないのか・・・。
経済同友会も人材不足なのだろうか。
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